6月29日(火)19:30〜21:30に行われた、
『オープンダイアローグについて学ぶ〜受けたいときに受けられる場をつくろう〜』の第5回の勉強会について、感想を書きたいと思います。
サブタイトルは、
「聴くということ。 〜言葉をたどる先にみえてくるもの〜」で、
講師の方は、
このオープンダイアローグの連続講座を主催している、
オープンダイアローグ・オンライン研究会を主宰している、
通称クロさん、こと、
西岡望さんです。
今回のテーマが、
対話において最も基本的な、
「聴く」という行為について中心的に扱っていることもあり、
今回の講座をとても楽しみにしていました。
この日の講義は最初、
クロさんの自己紹介や、
クロさんのご師匠さんのご紹介から始まりました。
そして、
「聴く」ということについて、
「たどる」、「うけとる」、「かえす」
に因数分解できると説明し、
「たどる」は、
「てにをは」まで舞台を観るように、
「うけとる」は、
相手の分身のように、
自分が聴いたことをそのまま返す、
「かえす」は、
相手とは異なる他者として、
相手とは違う価値観を持つもの者として、
自分の心の琴線に触れたものを返す、
と、
それぞれの行為について説明されました。
次に、
「たどる」ように聴くことについて、
さらに詳しく説明されて、
「たどる」というのは、
遺言を聴くように「てにをは」まで聴く、
とおっしゃりました。
なぜなら、
相手の使った言葉を変えて伝え返しをしてしまうと、
相手がその言葉を使った意味とは違う意味になってしまったりなど、
相手の本意・真意を取りこぼしてしまうからだ、ということでした。
この、
「遺言を聴くようにてにをはまで聴く」
という言葉は、
今回の講座で最も印象に残る言葉でした。
「たどる」ように聴くことについて、
もう1つ大切なこととして、
指先をたどるように聴く、
と、説明されていました。
指先をたどるように聴く、
とは、
目だけで相手の話を追うのではなく、
相手の感情の動きや気持ちに寄り添って、
その動きについていこうとするように聴く、
ということでした。
そして、
指先をたどるように聴いていると、
最初は語り手の方が感情が揺れて、
聴き手がそれに一生懸命ついていくという形を取るが、
だんだんと、
どちらがリードしているのか分からない、
まるでダンスをしているように、
お互いに寄り添いながら聴き合っていくという形を取る、
とおっしゃっていました。
「うけとる」ように聴くことについては、
・聞こえてきたことを返す
・なるべく相手の使った言葉で
・まとめなくていい
・自分の語ったことをもう一度相手の口から聴く体験
・自分の分身をみる体験
の5点、
「かえす」ように聴くことについては、
・語られたことに対して感じたことについて語る
・話し手の背景にあるものに思いを馳せる
・語られた言葉の奥にあるものを想像する❇︎分析や推察にならないよう注意
・異なる他者として存在する
の4点が大切なことだと説明されていました。
この日の講座ではワークは2回、
それぞれ2人1組と3人1組に分かれて、
講義での説明を参考にお互いに話を聴き合うワークを行いました。
2人1組で行う回は僕の方の電波が悪かったのが原因できちんと対話ができなかったのですが、
3人1組で行う回では、
お互いの話を丁寧に、
聴き合うことができました。
ただ...
「遺言を聴くようにてにをはまで聴く」
については、
相手の話をメモするだけで精一杯で、
対話のイベント中というフィクションでなら実現できそうですが、
日常の世界で「てにをは」まで正確に聴いて相手に返すのは、
ものすごく難しそうです。
そのことについて、
最後の質問の時間に感想として述べてみました。
「相手が言ったことをそのまま全部同じように返すというのは、すごく機械的に聴いているような印象を与えるのではないかと思い、躊躇いながら返していたのですが、
メモを取りながら聴いていて、
メモに取ったことを読みつつも、
自分の想いを乗せて返したのですが、
機械的になってしまっている気がして、
でもそのまま返しただけなのに、
相手には聴いてもらえた感じがして良かった、と言ってもらえたのが不思議でした。
僕たちのグループはグループの中の1人のエピソードが暖かなエピソードだったということもあるのですが、
何となく暖かな空気になって、共感し合える関係はつくれた気がして良かったのですが、それは参加者のそれぞれが共感的に話を聴くのに慣れているからなのか、
このような講座の中のワークでやっているというフィクションだから成立するのかは分からないのですが、何とか日常的にこういう対話的な関係がつくれたら良いなと思いました」
この僕の言葉に対して、
「フィクション」という言葉が印象に残った、とおっしゃって下さった方がいて、
僕と同じように、
「フィクション」(その方は砂漠の中のオアシスと表現されていましたが)としてだけではなく、どうやったら日常の世界にもこのような、
共感的にお互いの話が聴き合える対話的な関係が築けるのか、
という問題意識を持っておられる様子でした。
僕には、
視力矯正の不具合を改善するためのオープンダイアローグ のような対話の場を築きたいと思います。
そのような場を、
最初はフィクションとして実現させ、
医療現場など、
さまざまな日常の場面に波及させて行くのが理想です。
皆さんも、
まずはフィクションでも良いので、
オープンダイアローグのような共感的に話し合いができる対話の場に参加してみませんか?
きっと、
そのような共感的な対話の場が広がっていくことで、
対話性のある社会が実現していくのだと思います。
今回は以上です。
最後までお読み下さり、
ありがとうございました。。